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第5回/山本太郎(前篇)
誰もが悲しみ、怒り、不安を感じ、人生観を揺さぶられ、本当に大事なものは何かを見つめた
―――2011年3月11日。
あれから1年、その思いを実直に抱き続けている男がいる。山本太郎。
「あのイっちゃった役者ね」と軽い口調で嘲笑する人がいる。「言いたいことはわかるけど…」と言葉を濁す人がいる。
だが、思い出してほしい。あの日に刻んだすべての思いを。
問い直してほしい。自分は忘れてしまってはいないかと。
そして、虚心に聞いてほしい。
フジマル&アキラ世代が本気になって日本の政治を変えなければいけないという山本の熱いメッセージを。
山本 最初に僕のほうからいいですか! 読者の皆さんには今すぐやらなければいけないことが3つあることを知ってほしいんです。
まず、日本にある50基以上の原発を今すぐすべて廃炉にすること。日本は今地震の活動期です。明日なのか、1年後なのか、10年後なのかいつ起こってもおかしくない。その時に原発が動いていたら、福島と同じことが起こってしまうんです。だから一刻も早く廃炉を急ぐ必要があります。
次に、高汚染地域に今も住んでいる人たちを避難させること。もともと1時間あたり0・6μSV以上の放射線量がある場所は、放射線管理区域といって、18歳未満立ち入り禁止で飲み食いどころか腕まくりもしちゃいけないと、原発作業員などの健康を守るために厳しく管理されていたんです。
ところが今は、それ以上に汚染された場所で、たくさんの子どもたちが普通の生活を営んでいます。どう考えたって事故前と後で安全基準が変わってしまうっておかしいじゃないですか。少なくとも避難する権利を保証し、経済的に避難できない人には国の責任でお金を出すようにするべきです。
3つめは、放射性がれきの話。この安全基準も事故前は1kgあたり100ベクレル未満だったのを8000ベクレルに引き上げられました。そんな放射性がれきを、「痛みを分け合う」といって全国で燃やしたら、もう一回事故を起こすようなもの。放射性物質がばらまかれてしまうんです。これも止めさせなければなりません。
――原発への問題意識は3・11前からあったのですか?
山本 いや、3・11前は無関心でした。8年ほど前に環境団体のグリーンピースと出会ってそのサポーターになっていたので、そこからの知識で、原発には大量の冷却水が必要だということを知っていたぐらいです。でもまあ安全なんやろと…その程度の認識でした。そんな僕が、電源を喪失して冷却できなくなったというニュースがテレビから流れてきたとき、頭を叩かれたような衝撃を受けました。大量の水が必要なのに冷却できないってまずいんちゃう!? これは生き延びられへんかもしれん、と。でも同時に生き延びたいという気持ちが猛烈に湧き上がってきたんです。そのためには、声を上げなきゃいかんと思いました。
――山本さんのように熱く闘う人がいる一方で、事故から一年経って、原発に対する社会全体の空気は冷めつつあるように感じます。なんとなく事故のことは忘れて、以前の生活に戻ったというか…。
山本 たしかに危機感を持っている人は一握りなんですよね。無関心層が増えています。でも無関心層にも2通りあって、情報が伝わっていない人と、情報は得たけれどもそれを受け止められずに諦めてしまったという人がいます。諦めた人たちを変えるのは難しいかもしれないけど、その人たちの巻き添えになるのはごめんです。
だから情報が伝わっていない無関心層を変える必要があるんです。情報が伝わらないのは、原発の本当の情報がネットに限定されていて、テレビなどマスメディアがほとんど流さないから。その状況に、僕が動くことで少しでも風穴を開けたい。僕が現場に行けば、それをテレビが取材して放送する可能性がありますからね。
――心の中で原発に反対していても、声に出したり、行動するのは勇気がいります。とくに芸能界では、テレビのスポンサーの関係でいまだにタブーになっています。実際、山本さんは仕事が激減したと聞いていますが…。
山本 どれだけ仕事がなくなろうが、収入が減ろうが、生きていないと意味がありません。官僚の天下りの問題だとか、消費税を上げるとかなら、僕も今までどおりの人生を生きていたと思うんですよ。首なんか突っ込まずに、自分の好きなことをやってました。でも、原発は自分の命の問題なんです。今まで、僕はふざけてばっかりの楽しい人生を送ってきました。これから先もふざけ続けたいんです。そのために〝今〟やっている。それだけのことなんですよ。
構成/鍋田吉郎 撮影/松田嵩範
<本記事はジャンプ改VOL.9に「ワンスアゲン!」の特集記事として掲載されているものの一部転載です>
山本太郎直筆サイン入り著書
「ひとり舞台 脱原発 -闘う役者の真実-」
を5名様にプレゼント
【応募のきまり】
プレゼントご希望の方は、郵便ハガキに50円切手を貼り
①郵便番号②住所③氏名④年齢⑤性別⑥職業
を明記の上、以下のあて先までご応募ください!
【あて先】
〒101-8051 神田支店 郵便私書箱4号
第4編集部 ジャンプ改Vol.9
『ワンスアゲン!をもう一度 山本太郎サイン本プレゼント』係
☆賞品の当選者は、全応募者の中から編集部による厳正な抽選によって決定します。
☆締切=2012年4月9日(月)当日消印有効。
☆当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※この応募でいただいた情報は今後の企画のための参考とさせていただきます。
※応募された方の個人情報を、本企画遂行以外の目的に利用する事はありません。本企画遂行後、速やかに破棄致します。
※抽選の結果を電話でお知らせする事はありません。
※雑誌公正競争規約の定めにより、当懸賞に当選された方は、この号の他の懸賞に入選できない場合があります。
山本太郎(やまもとたろう)
1974年11月24日生まれ。兵庫県宝塚市出身。
昨年4月、脱原発活動を宣言し、活動家となる。
現在、脱原発宣言してからの原発廃絶に向けた活動の軌跡を追った著書『ひとり舞台 脱原発-闘う役者の真実』が好評発売中。
4/4~5/6までル・テアトル銀座で舞台 美輪明宏版「椿姫」に出演予定。
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