11万部を超える最新ヒット作をいち早くコミカライズ!
皆さんはじめまして
一応主人公、の涼介です
万城目先生も驚愕された
コミック版の
登場人物たちの
イキイキとした描写に
ご注目ください!
体形に似合わず、意外と軽やかな声を発したその少年は、僕に視線を向けると、足元から頭まで一瞥し、「ふうん」と鼻から音を発し、宙に掲げたままの赤い色をしたものに戻っていった。
しばらくして、
「許す」
というくぐもった声が、その丸い背中から発せられたとき、僕は少年が手にするものの正体に気がついた。
「ありがとう、淡十郎くん」
僕が初めて日出淡十郎に出会ったとき、彼は赤い色の茶碗を空に翳し、とっくりと鑑賞していた。
「そういえば、浩介さんって、あなたのお兄さんなの?」
右手に枯山水の小さな庭が現れ、開け放たれた縁側から、ふたたび太陽の光が戻ってきたところで、女性が急に首を回し訊ねてきた。
「はい、そうです」
「昨日のテレビ、観たわよ。ざっつ、こわびーしょー、でしょ?」
「何が――そんなに下品なんですか?」
ああ、とおじは面倒そうに声を上げ、頬を支える手から顔をもたげた。
「お前はまだ知らないか。あの連中はな、力を放つときひどい音を立てる。それこそ、死ぬかと思うようなひどい音だ。この世のものではない響き。あれほど下品な音は地上に存在しない。どんな下品なものよりも、さらに下品だ」
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