このチャーハンは。。。俺の母さんの思い出で出来ている
睨み合うソーマと朝陽。
次に朝陽は、マナを睨みつける。
マナ様「。。。フン なんてことなかったよ。だが。。。
とてもよかった」
黒髪ロング「え!マナさん、ホントに!?」
マナ様「結局、私は彼の相手の料理を試すことにしたよ」
というと、ふとバケツを手にするマナ様。
ソーマ「。。。バケツ?」
マナ様「バケツと一緒に連れてってもらおうか」
場面転換
マナ様「準備は常にしてある。このバケツは君の料理がマズくて吐きたくなった時のためだ」
キレるもみあげ「ッチ、アイツなんつった!?」
唖然とする、えりなたち。。
黒髪ロング(三人の審査員の反応によって。。。ゆきひらさんの料理がとても美味しかったことに嘘はなかった。。。)
(けど。。。マナ様の探し求めてる美食レベルは尋常じゃなく高い! もしつまんない料理が出たとしたら吐き捨てるほど。。。)
(ゆきひらさんは これは無謀すぎないかしら。。。)
内心焦る黒髪美女が、ふとモニターに目をやると、そこには信じられない光景が。。。!
(なんなの!?審査員のこの反応は!?)
美食に天に登るかのようなリアクションの審査員さん。。。w
(これは才波朝陽の呼び起こす感情のレベルと同じく等しい。。。!
ありえない。。。より高いレベルなんて尚更!)
そしてとうとう食事を始めるマナ様。。。
マナ様「ん。。?」
「これは。。。!? この胸の引っ掛かりはなんだ。。!?」
マナ様が一度噛んだ瞬間、
マナ様 「口に運び、咀嚼した瞬間!(なんだこれは。。。!?)
私の想像すら遥かに越えた最高の味!!
口の中で、鼻を抜けて、脳天で爆発する!」
それを見ていた取り巻きたち
メガネ袴「ただの匂いから。。。朝陽くんの料理は圧倒的だったんじゃないか!!?」
メガネ爺「そうだ!どう見たって関係ない!あれが素晴らしい料理だなんてありえない!」「じょ、冗談だろ!!」
朝陽「思ったとおりだ、、、俺の感じた引っ掛かりの正体が、これなんだろう?」
ソーマ「朝陽がチャーハンでバターと醤油とともに、大量の辛味フレーバーを使っていたとしても。。。
そのうちどれも香りはほとんどしなかったな。。。」
ハッとする一同「。。。。!?」
ソーマ「その秘密は。。。五大料理のミックスから持ってきた、とある材料。。。!
“不均一に加熱したウフ・マヨネーズ”。そいつを使ったんだ」
マナ様「。。。ウフ・マヨネーズ。。。フレンチ・ビストロ・メニューの重要な主原料の一つか。。。
硬化させ終わった半熟卵料理。そして、野菜と自家製マヨネーズと付け合わせ。
この料理は、完璧ななめらかさと粘度を得るため半熟に茹でる。
幸平ソーマは、その半熟卵と、彼の特性マヨネーズを混ぜ合わせ、溶き卵を作った。
そして。。。それら具材を、中華鍋とおたまを使い、異常な強火と速さで振るった!!半熟卵を!!
その荒業にて、米の一粒一粒すべてを“半熟卵”で。。。表面をおおって密封したのだ。。。」
素晴らしい解説です、マナ様。
納得する審査員たち。。。
「こ、これは!?」
突然、驚きの声をあげた男は、美しく光り輝く一粒の米を見て、叫ぶ!
「これはまさしく最小のオムライスではないか!!
一目では気づかないほどの微かな卵の薄い膜。。。これはまさに。。。!」
まさに米一粒の世界最小オムライスですね。よっぽど美しく膜が張られていたのでしょうww
「まさしく! この米粒どもは。。。料理が運ばれてくるまで、己の牙を隠してる。
そして、その粒が一度、口に入ると。。。全ての力をもって君に襲いかかる。」
黒髪ロング「こ、これが審査員たちをあそこまで絶頂させた要因なの。。。?!」
そう、チャーハンに喰らいついた瞬間、コーティングは破れて。。。その全ての風味と香ばしさは、舌の上で一発で膨れ上がって爆発する!」
やりきった満足げな笑みでソーマは言う。。。
「これが“無添加フレーバーレスチャーハン”」
ドヤァ…
メガネ袴「そんな。。。不可能だ!不可能だ!不可能だッッッ!!」
「てめぇらなにほざいてやがる?! そんな料理は絶対に不可能!!!」
完全にテンパる眼鏡
ナチス兵「土鍋で炊き終えた後、ライスをより更に温度の高い中華鍋で加熱し。。。!
そして更に更に!オイルを一切使わなかっただと?!
そしてその上、ヤツはライス一粒一粒を“半熟卵”でコーティングしただと?!」
(もし彼の動きが一瞬でも遅れれば、チャーハンはオーバーヒートし、失敗に終わっただろう。。。
なぜ彼はそんな危険すぎる賭けに打って出たんだ!?!?)
ナチス兵「ヤツは失敗が怖くないのか!?
いや!! それ以上に。。。どうやってそんな調理法を思い付いたっていうんだ!!??」
ソーマ「。。。その方法を教えてくれた、とある料理人がいた。
それは母さんだ。母さんが教えてくれた。
なぜなら、それは失敗作だったからだよ。」
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ソーマくんのちょっといい思い出話、始まります
――――10年前。ソーマが6才の頃。。。
すみれ通り商店街『定食屋 ゆきひら』
客A「たまこちゃん、隠しメニューをいけるかい」
その声を聞いて、ざわめくお客さんたち。。。
そして、
客B「おぉぉ!賭けでもするか!」
客A「できんのかよ!?どうせ失敗だろ!
負けたらビール一杯奢りな!」
突然の始まる賭け事。。。一体何が始まるというのか!
ソーマ(6)「じいちゃん、じいちゃん!
母さんが料理すんの久しぶりだね!」
おじいちゃん「まったく。。。懲りない奴らだ。。。忌々しい常連どもが」
ユキヒラ タマコ(28)、パイポを咥えながら颯爽と登場!
たまこ「“隠しメニュー”か。。。かしこまり」
見た目めっちゃかっこいいネーチャンで草www
そして、その隠しメニューを食す、お客さん。。。
「オエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
。。。それは最悪ランキングワーストの料理だった。
たまこ「むー、おかしいな。。。キメ手の調味料ミスったかな。。。?」
客C「ソーマのご飯も作ってやれなかったくらい下手だったことを思うと、たまこも少しは成長したよw」
客D「そうだな!先月食ったチャーハンは最高にアタリだったぜ! チャーハンは割とかなり上達してる。」
たまこ「まあな!! いちばん滅茶苦茶に失敗したメシだったから!
ま、失敗は成功の元っていうし!」
客E「俺の体は、まだその失敗の味を忘れられねえよ。。。()
でも、とうとう料理得意な良い息子を持ったな!ゆきひらも救われたな!w」
城一郎ちゃん、煮付けひとつ!」
城一郎「はいよー」
たまこ「私も煮付け一個、あとビール」
城一郎「客かよ()」
たまこはビールで完全に出来上がって、客とどんちゃん騒ぎで盛り上がっていく。。。
そこでふと客の会話が、城一郎の耳に入る。
客F「うわ!ボーリング玉みたいにメッチャ焦げてるチャーハンじゃんか!」
客G「まてよ!でも中はやわらかくてイケるぞ!」
客H「マジじゃん!イケる!」
たまこ「実はこれ新商品!!!!」
客「うそつけ!!」
城一郎(たしかに。。。俺も思いつかないことを。。。
超面白そうなチャーハンじゃんか。。。!)
ソーマくんの思い出話は終了し。。。続ける
「そんな感じで。。。母さんから最初に教わった料理はチャーハンだったんだ。」
(失敗だろうが成功だろうが気にしない。
母さんがどこにいようが、俺はいつだって中華鍋を振るう母さんを見ることを楽しみにしてた。
そんなのが好きだった)
ソーマは、朝陽に向き直って続ける。
「才波朝陽。。。たしかにお前は。。。膨大な優れた道具と技術によって、お前が望むフレーバーなら、どんなフレーバーでも作れるだろう。。。
だがしかし、お前の知らないフレーバーが一つある。
失敗のフレーバー、それだ。
俺の作った料理の、核心だ。」
静かに聞き入る観衆と、満足げな笑みを浮かべる城一郎。。。
しかし朝陽は、不敵に嘲笑い始める。。。
朝陽「ククク。。。あまり才能のないシェフが言うこととは違ったな」
狂気的に大笑いしながら、
朝陽「失敗のフレーバー!? まったく分からん! それがなんだというのだ!
なんと馬鹿げてる!!
城一郎を倒すシェフは私だ! 私が最強。。。
最強の男にそんなものはいらん!!」
突如「バァンッ」という音
観衆「ここだ!ここで今!」「音が迫ってくる!!」「おさずけパルスだ!」
メガネ(朝陽くんと同じレベルの料理に来たと言うのか?! そして評価が相殺されただと。。。!!)
!!?
「バァンッ」「バァンッ」「バァンッ」またもや音が鳴る
観衆「いや。。。ちがう!! これは。。。」
「「この現象は。。。」」
「「「いつものおさずけパルスじゃない!!!」」」