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井上淳哉 新連載直前インタビュー

6/10(月)発売ジャンプ改7月号から 待望の大型新連載スタート直前企画 大人気コミック[BTOOOM!]の井上淳哉インタビュー [La Vie en Doll ラ ヴィ アン ドール

「@バンチ」で連載する『BTOOOM!』が大ヒット中の井上淳哉先生が7月号よりジャンプ改に降臨。“リアル魔法少女”というテーマで新たな物語を紡ぎ出す!!
「『BTOOOM!』以上のものをつくる気持ちで製作に臨んだ」と話す新連載『La Vie en Doll』とはどんな作品なのか!?ベールに包まれた新作の内容を直撃したッ!!

私の中のもうひとりのワタシ 世界に轟くリアル魔法少女ストーリー
目指したのはリアルな魔法少女

――新作の『La Vie en Doll』とはどのような作品ですか?
井上 ひと言でコンセプトを表すと「リアル魔法少女」ですね。もともと魔法少女ものが好きだったわけではないのですが、『エンジェルウォーズ』という映画をきっかけにハマってしまいまして……。
日本の魔法少女アニメと違って、『エンジェルウォーズ』はすごくリアルなんですよ。日本にもそのような魔法少女ものがあってもいいのではないかと思い、自分なりのアイデアを盛り込んだリアルなものを考えてみました。

――「リアルな」魔法少女ものという部分が気になります。
井上 魔法少女ものって対象が子供ということもあって、ストーリー展開が予定調和であることが多いですよね。僕のようないい大人になると、そこにちょっと付いていけない部分があるんです。
だけど素材としてはすごく魅力があって、例えば海外ドラマ『HEROES』のような切り口で描いたら面白いと思ったんですよ。スタイルとして確立されすぎているぶん、逆にまだ開拓されていないところがあることに気がついたんです。

――作品の舞台設定はどのように考えられたのですか?
井上 まず敵をリアルな存在にしようと考えたときに、日本を世界の中心であるように描くことは無理があるだろうと。それに日本だけでは話を大きくするのも難しいですし。なので、敵キャラクターのほとんどは海外出身にしました。

――魔法少女たちの戦いを通して、さまざまな国が出てきたり…。
井上 できればそうしたいですね。すでにハンガリーには行っていて、この先イタリアを取材することまでは決まっています。ハンガリーではブダペストの歴史のある街並みだったり、観光旅行ではまず訪れないような庶民的な場所などを見てきました。
あと、バートリ・エリーザベトという、かつて処女を200人ぐらい殺したという残忍な貴族が所有していた城にも行っています。実際に現地を取材して、東ヨーロッパ独特の荒涼感がもたらす迫力を感じましたね。


▲東欧の町並み、アイテムなど細部までこだわってます!

――そんな現地取材の成果は今回の作品のディテールにも生かされていると思います。
井上 そうですね。ディテールだけでなく、自分の中にあった作品のイメージもさらに広がりました。取材の前にコミックス1巻分のプロットをすでに書き上げていたのですが、イメージが膨らんで帰ってから大幅に書き直しました(笑)。
特に大きく変わったのは、もともと脇役のはずだったキャラクターに主人公を導く重要な役回りを与えたことです。いくら主人公が自立するための旅とはいえ、何の知識もないまま外国に行ったら路頭に迷ってしまうだけですから。取材をしながら、それは身を持って感じましたので(笑)。

――また、本作の序盤では、象徴的な舞台として東京スカイツリーが登場するそうですが……。
井上 各方面のご協力を得てヘリからの空撮をさせていただきました。今回の作品では背景をアナログで一から線を起こして描くのではなく、写真をベースに描き起こしているんです。その方法だとよりリアルな背景を描くことができるのですが、一方で素材の写真がないと絵を描けないリスクもありまして(笑)。
スカイツリーに限らず、本作ではそういったシーンをどんどん出していきたいと思っています。

――他にこれまでにないチャレンジをしている部分はありますか?
井上 これまでの僕の作品は、かなりシステマチックな作り方をしているものが多いんです。例えば『BTOOOM!』なら、爆弾の所有数があと何個でどうしたらピンチを切り抜けるのかを漫画として理詰めで見せていく。それをアニメで再現することの難しさを、昨年『BTOOOM!』がアニメ化された際に実感させられました。
これは優劣の話ではなく、表現の違いから来るものなのですが、今回に関してはアニメで表現しづらいリスキーな描き方は封印することにしました。とにかく登場人物のキャラをしっかり立てて、彼女たちの主張のぶつかり合いを見せていこうと。キャラを立てることは漫画の基本ですが、僕にとってはまだ開拓の余地が残されている領域なんです。

ゲーム業界から漫画家へ そして新人のような気持ちで…

――そもそもゲームクリエイターから漫画家に転身した経歴をお持ちですが、その経緯を教えてください。
井上 高校生の頃から漫画は描いていたのですが、仕事として選ぶ道として現実的なものとは思えなかったんですね。それで当時夢中になっていたテレビゲームの制作会社に就職することになりました。
ところが業界に入って10年ほど経った頃に、ゲームの開発に限界を感じるようになってきまして。ぶっちゃけて言うと、プレイステーション2向けのソフト開発がすごくやりづらかったんです(笑)。そんな時、ちょうど同人イベントを通じてコミック誌の編集部から声をかけていただいたこともあり、漫画家になることに決めました。

――そんな井上先生にとっての“面白い漫画”とは…?
井上 僕は漫画には、「面白い漫画」と「好きな漫画」があると考えています。面白い漫画というのは、ハリウッド映画のような起承転結だったり、予想を裏切るハラハラドキドキの展開が続くものだったりといろいろですが、最終的にお客さんがお金を払ってくれるのは好きな漫画なんです。
じゃあ、好きな漫画とはどういうものかといえば、個々の読者のツボをピンポイントで突くような趣味に特化したものだと思います。その意味では、エンターテインメント性を中心に据えながらも趣味性に特化したものこそが、個人的には完璧な“面白い漫画”ではないかと。


▲お馴染みの「萌えるヒロイン」は本作でも健在!

――最後に、新作の連載開始を楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。
井上 夢だった集英社のコミック誌で漫画を描かせていただけるということで、新人のような初々しい気持ちで作品づくりに取り組むことができています。それが読者の皆さんにも伝わって、これまで僕の作品を読んだことがある人にもない人にも新鮮に感じてもらえたらいいなと思います。
もちろんお客様第一のサービス精神もしっかり詰め込んでいますので、そちらもうまく伝わってくれたら幸いです。


構成/松本光生(サンプラント) カット/井上淳哉



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